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近年では、温暖化の加速によって夏は猛暑日が続き、38℃と私たちの体温を超える日も珍しくなくなりました。猛暑が災害レベルとも言われはじめたように、屋内にいても熱中症の危険があるほど暑さ対策が必要となってきています。
そんな中、ガーデンのもたらす遮熱効果で、建物とその周辺の暑さを和らげることがわかっています。これはエアコンなど、外気を取り込む空調機の省エネ対策としても効果的です。
グランドカバーは単に地表を緑で覆うというだけでなく、空間全体の体感温度を最適化する役割を備えています。熱吸収率の高いコンクリートでは、真夏の日射を受けた場合、60℃近くにまで達することがあります。これに対しグランドカバーでは、外気温プラス2〜3℃くらいと、植物自体が赤外放射をかなり抑えていることがわかります。
また地表面での保水効果が、とても重要な要素です。欧米では、芝生などのグランドカバーを植栽することを法令化している自治体が少なくありません。これは地面に「水を蓄える」という目的で、保水効果がヒートアイランド現象に効果的であることが明確だからです。
植物は蒸散作用といって、根から水を吸い上げ葉から水分を蒸発させて、気化熱現象を起こしています。水分が蒸発する際に周囲の熱を吸収して冷やす仕組みです。気温が高いほど蒸散作用は活発化し、植物の呼吸が天然のミストを作り出して周辺の環境温度を調整しているんですね。
中高木を配置すると、私たちの背丈の上で葉が茂ります。この樹冠(枝や葉が茂っている部分)が木陰を作り、直射日光の量自体を減らすことができるんですね。直射日光を木漏れ日に変えるといえばイメージしやすいでしょうか。ちょっとした日除け傘がガーデンの中にある感じですね。またこれによって周辺からの放射熱の軽減作用の効果があります。樹冠は蒸散作用によって熱くなりにくいという特徴があり、パーゴラに藤などつる性の植物を絡めることでも同様の効果があります。
樹種や樹勢より異なりますが、およそ75~95%くらいの日射を遮ることが確認されています。緑の多い街路樹の下では体感温度を7℃ほど低くできているようです。
もちろんシェードなど人工物で日影を作ることでも、日射遮蔽対策になります。日向では60℃にまで達するアスファルトやコンクリートも、日除け下での地表面温度は外気温プラス2~3℃程度に抑えられることが確認されています。また体感温度も3~6℃くらい低くなるようです。
空気がこもらないよう風の通り道を作ることで、空気の循環が室内の急激な温度上昇や蒸し暑さを軽減してくれます。壁を作る際には、ウッドフェンスの板材の隙間のピッチ等を調整したり、また低い高さで広く覆い茂るような植物を避け、風通しが悪くならないように配慮しながら植栽設計していきます。
残念ながら、今後もより温暖化が進行することが明確になっています。2023年には地球温暖化の時代は終わり、「地球沸騰化」の時代に入ったと国連総長が警告をはじめました。
東京では平均気温が過去100年で1.26℃上昇、日本では世界の平均0.79℃よりもかなり早い速度で上昇しています。また熱帯夜(最低気温が25℃より下がらない日)の日数も、過去40年間で約2倍に増えています。(気象庁調べ)
今後の温暖化の点も考慮して、暑さ軽減のプランを取り入れながら空間づくりをしていきましょう。ガーデンには見た目の持つ美しさだけでなく、生活環境をより快適にする効果がいくつもあります。自然界の力を有効に活用し、ガーデンの中で瑞々しい暮らしを送りましょう。
参考資料:まちなか暑さ対策ライン(環境省)
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